小さな工夫
泌尿器科手術後のダーマボンドを使用した皮膚縫合
稲元 輝生
1
,
安倍 弘和
2
1大阪医科大学泌尿生殖・発達医学講座泌尿器科学
2済生会静岡病院泌尿器科
pp.182-183
発行日 2009年2月20日
Published Date 2009/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101662
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泌尿器科手術後の創部の縫合は施設によって手法が異なり,この十年で方法が激変した。開放手術が主であった十年前には,腎摘除術には腰部斜切開,膀胱全摘除術や前立腺全摘除術には下腹部正中切開が用いられてきた。おのずと切開の距離は10~20cmと大きく,したがって,筋膜を1バイクリルあるいは5号絹糸で縫合した後,皮下を3-0バイクリルで縫合し,真皮はクリケットで縫合する手法が主であった。ところが,近年の内視鏡手術の台頭により,切開創のサイズは格段に小さくなった。例えば,腹腔鏡下腎摘除術では,カメラポートを含めて12mmサイズのポートが合計2個,5mmサイズのポートが2個,そのうちの1つのポート創を延長して作る5~6cmサイズの腎摘除用の創部から構成される。
われわれはここ数年,筋膜を1バイクリル(あるいは1マクソン)で縫合し,皮下は3-0バイクリルなどの吸収糸で埋没縫合,そして真皮をrunning sutureで縫合し,表皮をダーマボンド(High Viscosity Dermabond®, Ethicon)で覆う方法を採用している(図1)。なお,真皮のrunning sutureは糸の両端はわざと結紮せずに置いておき,ダーマボンドで覆った後に両端の糸を牽引しながら真皮ぎりぎりのところで切断している(図2)。この方法の利点は創部の治癒が極めて良好なことで,場合によっては手術の翌日からシャワー浴が可能であり,美容上の面からも極めて美しいという点が挙げれらる。もちろん,術後の病棟での消毒処置はまったく不要である。
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