書評
「プロメテウス解剖学アトラス―解剖学総論/運動器系」―坂井建雄,松村讓兒 監訳
塩田 浩平
1
1京都大学大学院・形態形成機構学
pp.297
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101485
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16世紀に出版されたヴェサリウスの『ファブリカ』以来,今日に至るまで,解剖学書は絶えざる発展を遂げてきた。なかでもドイツ学派の貢献が最も大きくかつ重要で,ドイツからは数々の歴史的名著が出版されてきた。その伝統の上に,このたび『プロメテウス解剖学アトラス』という,その名も壮大な解剖学書がドイツ解剖学の泰斗3人によって新たに完成され,それを坂井建雄教授と松村譲兒教授がいち早く日本語版でわれわれに提供してくれた。
肉眼解剖学の多くの書物は,いわゆるテキスト中心の教科書的書物とアトラス(図譜)がそれぞれ別に作られ,両者を併せて用いることにより人体の構造の詳細を学ぶことができるようになっている。しかし,『プロメテウス解剖学アトラス』は,こうした従来の常識を打ち破り,まったく新しいアイデアで構成されている。すなわち,1,700点に及ぶ図のそれぞれに比較的詳しい説明文が付けられ,構造のポイント,周囲の器官・組織や全身との関連,構造と機能の相関などが図に即して効率的に理解できるように配慮されている。
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