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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■尿失禁
【遺尿症(夜尿症)】
42.ときどき夜尿症のある男児(小学6年生)です。修学旅行に行くので予防薬を希望して受診しました。対処と処方について教えてください。
山西 友典
1
,
水野 智弥
1
,
吉田 謙一郎
1
1獨協医科大学泌尿器科
pp.143-145
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101419
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1 診療の概要
夜尿症は種々の原因による症候群とされており,その原因には,①膀胱容量の減少,すなわち膀胱機能が未熟なために十分尿がためられないこと,②夜間多尿,すなわち抗利尿ホルモン(ADH)分泌のcircadian rhythmの異常(夜間にADHの分泌が増加しないために夜間尿量が減少しない),③覚醒障害,すなわち睡眠時に尿が充満していても目が覚めないこと,の3つがある1~3)。そのおのおのに対して治療法があるので,患児の夜尿がどの原因によるものかを診断する必要がある。ただし,覚醒障害はどの夜尿児でも認められる。すなわち,他にどのような原因があるにしろ,目が覚めてトイレに行けば夜尿はなくなる(しかし,他の原因が治癒しない場合には夜間頻尿になる)。
夜尿症には,昼間の過活動膀胱症状(頻尿,尿意切迫感,尿失禁)を伴わないmonosymptomatic enuresisと,それを伴うnon-monosymptomatic enuresisがある。また,生来夜尿の続く一次性夜尿症と,数か月以上排尿のコントロールが可能であった後に起こる獲得型,あるいは二次性夜尿症とに分けられる。
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