特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■尿失禁
【遺尿症(夜尿症)】
43.ときどき夜尿症のある男児(小学6年生)です。修学旅行に行くので予防薬を希望して受診しました。対処と処方について教えて下さい。
大島 一寛
1
1福岡大学医学部泌尿器科
pp.154-156
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100251
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1 診療の概要
遺尿症とは無意識のうちに排尿(尿漏れ)が起こる状態で,昼間に漏れるものを昼間遺尿,5~6歳を過ぎても夜間就眠中に漏れるものを夜間遺尿(夜尿症)と呼んでいる。乳幼児では膀胱にある程度の尿が溜まると仙髄の排尿中枢を介して反射的(無抑制的)に排尿するが,年齢が進むにつれて脊髄,上位の脳幹部,大脳皮質排尿中枢の発達とともに,無抑制の膀胱収縮に対する抑制径路が完成されて機能的膀胱容量が増加,蓄尿排尿機構が完成して随意の排尿が可能になる。この年齢が5~6歳というわけである。この成長過程にはもちろん個人差があり,3歳くらいで夜尿が消失する児もいるが,頻度は別として夜尿を主訴に病院を受診する年齢のピークが8歳で,それ以降の年齢では著明に少なくなるとする調査結果もあり,排尿機構の完成年齢には個人差が大きいことがうかがえる。
ちなみに,海外では6歳児の夜尿症頻度は10%,14歳で5%1),本邦でも5~9歳児で11%,10~12歳で4%2)と洋の東西を問わず,ほぼ同様の調査結果がある。
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