ナースの作文
泣いただけでは解決できない/修学旅行
吉田 千代子
1
1国立霞ケ浦病院
pp.33-36
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910621
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Sさん御便りありがとう。桃の花が今を盛りに咲いています。しずかな春の一日を送りたいと思いながらあれやこれやと雑事ばかり多くて困つています。こちらはとても静かな所ですが,一日毎に新しい住居の立ちならぶ近辺からは,つちの音がしずけさを破つてきこえてきます。早速お便り致すつもりでしたがいつもの筆不精がたたり今になつてしまいました。今日は貴女への御返事をしたためるために一日机に向かつています。
お便り拝見して貴女が有限な世界の中でもがき,そしてつかれきつていらつしやる御様子が目に見えるようです。貴女のおつしやるような決して慰めたり同情したりの返事をかくことのできる私ではなく,思つたままを書かせて下さい。
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