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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■尿失禁
【切迫性尿失禁】
39.トイレに行くまでに尿が漏れてしまうという50歳の女性患者です。対処と処方について教えてください。
加藤 久美子
1
1名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科
pp.130-133
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101416
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1 診療の概要
「トイレに行くまでに尿が漏れてしまう」という訴えからは,急に起きる我慢のきかない強い病的な尿意(尿意切迫感)を伴った尿失禁,すなわち切迫性尿失禁(urge urinary incontinence)が最も考えられる。周知のように,2002年に国際禁制学会(International Continence Sosiety:ICS)は,過活動膀胱の定義を尿流動態検査に基づくものから,「尿意切迫感を必須症状とする症候群で,通常は昼間頻尿,夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁は伴うことも伴わないこともある」という自覚症状による定義に変更した1,2)。したがって,切迫性尿失禁は過活動膀胱で必須ではないが,中核的な症状と位置づけられる(図1)。
近年,過活動膀胱が頻繁に話題となったのは,新規治療薬の開発に伴うところが大きかった。過活動膀胱の治療の中心は今のところ抗コリン薬であるが,多飲多尿3),心因性頻尿および習慣性頻尿などの要素を分析し,行動療法を志向することを忘れてはならない。
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