特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■不安定膀胱
【不安定膀胱】
45.「冷えると尿が近くなる,漏れそうになる」と訴える不安定膀胱の患者です。そのメカニズム,対処と処方について教えて下さい。
大島 一寛
1
1福岡大学医学部泌尿器科
pp.160-162
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100253
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1 改訂基準でみた患者の訴え
2002年の国際禁制学会における下部尿路機能に関する用語の新基準1)に沿って本症例の訴えを見直すと,冷えるという限定条件はあるが,尿意切迫感(尿が漏れそうになる)と頻尿(尿が近い)があるので,切迫性尿失禁はなくとも過活動膀胱(overactive bladder:OAB)といえる。ちなみに新基準でいうOABとは症状症候群を意味し,ウロダイナミック検査所見は問わないことになっており,ウロダイナミック検査を行った場合は利尿筋過活動(detrusor overactivity)なる診断が与えられ,神経学的基礎疾患があれば神経因性利尿筋過活動,なければ特発性利尿筋過活動に分類される。現在,不安定膀胱という用語は廃止されているが,もし患者が膀胱内圧測定を受けて不随意収縮が証明され不安定膀胱の診断を受けているのであれば,新基準での後者に属する。すなわち,過活動膀胱で特発性(非神経因性)排尿筋過活動ということになる。
文献的にはまだ新旧の用語が混乱しているところがあり,治療方針決定にも影響するので敢えて記した。以下これに沿って述べる。
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