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1.尿路・性器の炎症性疾患
■前立腺痛
【前立腺痛】
29.頑固な前立腺痛の自覚症状を訴える患者です。対処と処方について教えてください。
安田 満
1
1岐阜大学大学院医学系研究科病態制御学講座泌尿器科学分野
pp.101-104
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101405
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1 診療の概要
前立腺痛を伴う疾患としては,前立腺炎症候群が代表的である。前立腺炎症候群は,一般に前立腺痛のほかに,頻尿,残尿感,会陰部痛,腰痛,下腹部痛などのさまざまな自覚症状を伴うことが多く,痛みの程度も不快感から疼痛まで多種多様である。前立腺炎症候群の分類としては,Drachら1)の分類が用いられてきた。これは,前立腺炎を急性細菌性前立腺炎(acute bacterial prostatitis),慢性細菌性前立腺炎(chronic bacterial prostatitis),非細菌性前立腺炎(non-bacterial prostatitis)および前立腺痛または前立腺症(prostatodynia)の4つに分類するものである。
現在は,NIHの分類が用いられることが多い(表1)2)。NIHの分類では,Drachらの分類での非細菌性前立腺炎と前立腺痛をcategory Ⅲ〔chronic abacterial prostatitis(chronic pelvic pain syndrome)〕にまとめ,subgroupとしてcategory Ⅲ A(inflammatory)とcategory Ⅲ B(noninflammatory)に細分化した。さらに,前立腺炎の症状や所見がなく,前立腺生検,前立腺手術などの病理組織学的検査にて前立腺に炎症を認めたものをcategory Ⅳ(asymptomatic inflammatory prostatitis)として新設した。
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