特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【腎盂腎炎】
6.38℃台の発熱と右側腹部痛にて来院した妊娠20週の31歳の女性患者です。検尿で膿尿を認めました。対処と処方について教えてください。
菊地 栄次
1
,
村井 勝
2
,
大家 基嗣
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
2国際親善総合病院
pp.32-33
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101382
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1 診療の概要
妊娠すると,解剖学的変化とホルモンの影響で,非妊娠時に比べ尿路感染症に罹患しやすい。解剖学的変化としては,妊娠の進行に伴って増大した子宮により,骨盤上峽部の縁で尿管が圧迫され,腎盂,腎杯の拡張が出現しやすくなる。ホルモンの影響は,妊娠中に増加するプロゲステロンによるもので,尿管の平滑筋が弛緩し,蠕動運動が低下する。また,膀胱平滑筋にも作用し,残尿の増加,VURが起こりやすくなる。
妊娠中の急性腎盂腎炎は妊娠女性の約1~2%に発症し,また中期以降に多いと報告されている1)。半数以上は右に出現する。その理由としては,妊娠子宮が右旋・右傾すること,左側尿管はS状結腸によって圧迫が緩衝されること,さらに直接下大静脈に還流する右側卵巣静脈は妊娠中に拡張し右尿管を圧迫すること,が挙げられる。
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