特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【尿道炎】
7.排尿時痛ならびに黄白色の尿道分泌物を主訴に来院した30歳の男性患者です。1週間テトラサイクリンを内服したにもかかわらず改善しません。対処と処方について教えてください。
高橋 聡
1
1札幌医科大学泌尿器科
pp.34-35
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101383
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1 診療の概要
男性の尿道炎は,起炎微生物により淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分類される。淋菌性尿道炎は淋菌感染によるもので,強い排尿痛,外尿道口からの膿性分泌物,亀頭部の発赤などの症状が特徴的で,非淋菌性尿道炎と比較して症状の程度が強い1)。非淋菌性尿道炎は,Chlamydia trachomatis, Mycoplasma genitalium などの感染による。これら以外にもウレアプラズマの関与も疑われているが,確立されてはいない。軽度の排尿痛,外尿道口からの漿液性分泌物などの症状が特徴的であるが,無症候性の場合も少なからずある。淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎は,症状から判断して大まかに鑑別することも可能であるが(表1),M. genitaliumによる尿道炎では,症状の程度が強い場合もあり,念頭に置く必要がある。
淋菌性尿道炎に対する治療としては,経口抗菌薬に対する淋菌の耐性化が著しいことから,注射用抗菌薬により治療すべきである2)。非淋菌性尿道炎に対する治療としては,テトラサイクリン系,マクロライド系,ニューキノロン系抗菌薬が有効であり,治療に難渋することは稀である。
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