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中心静脈ライン確保は長期間の安定した輸液ルート,中心静脈圧の測定,ブラッドアクセス用カテーテルの留置などの目的で日常的に行われている。基本的な手技の一つではあるが,個人の技量によるところが大きく,血腫や気胸などの合併症を引き起こす危険もある。泌尿器科では動脈硬化や腎不全などの合併症を持つ高齢者に対し施行することが多く,血管の走行異常などにより熟練者でも難渋する場合がある。われわれは経直腸用前立腺エコープローベを利用し,安全かつ正確に中心静脈穿刺を行っているので紹介する。
清潔操作で滅菌済みのプローベを用い目的の静脈を描出し,穿刺を行う(図1a)。助手にプローベを固定してもらい,針先をエコーで確認しながら進めていく。静脈を穿刺した後は,型通りの操作でカテーテルを留置する。ドップラーがなくとも動脈と静脈は拍動の有無などで簡単に判別が可能である。静脈はプローベを強く押しつけると容易につぶれて穿刺が困難になってしまうので,軽く当てるのがコツである(図2)。また,内頸静脈の穿刺では患者に息こらえをしてもらうと静脈が怒張し穿刺が容易になる。穿刺方法は様々で穿刺用のアダプターやUS対応針を用いてもよいし(図1b),プローベのすぐ横から直接刺してもよい(図1a)。中心静脈は直接体表から観察することはできないため盲目的に穿刺を行うことになり,術者の技量による差が生じるが,泌尿器科であればほとんどの施設で備えてある前立腺用プローベを用いれば,静脈や併走する動脈の位置がはっきりと確認できる。中心静脈の描出には7.5 MHzの甲状腺や乳腺用プローベが適しているが1),どこにでも備えてあるわけではない。前立腺用プローベは7.0 MHz前後であり浅部の描出に非常に適している。当院ではB&K Medical社Type 2003の7.0 MHzのプローベを使用している。また,前立腺用プローベには劣るが3.5 MHzの腹部用プローベでも代用可能である(図1c)。
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