特集 前立腺疾患のすべて
Ⅴ 前立腺疾患のトピックス
米国における前立腺癌に対するクライオサージェリーの実際
篠原 克人
1
Katsuto Shinohara
1
1カリフォルニア大学サンフランシスコ校泌尿器科
1Dept of Urology,University of California San Francisco
pp.332-336
発行日 2003年4月5日
Published Date 2003/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100878
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1 はじめに
前立腺癌は米国では男性における最も罹患率の高い癌であり,また肺癌に次いで男性における癌死の原因の第2位にランクされている。2002年には30,200人が前立腺癌で死亡すると推定されており1),米国民の間で最も関心の高い疾患の1つである。近年,前立腺癌がことさら注目されている理由には,PSAの普及と経直腸超音波(以下,TRUSと略す)ガイド下の前立腺生検手技の確立により,発見される症例が増大していることも挙げられる。TRUSの導入により前立腺生検が安全により正確に行われるようになり,またPSAの普及により,より多くの患者が生検されるようになった。これにより早期の癌の発見が増え,患者の平均年齢や診断時の前立腺癌の病期の配分は大きく変わってきた2)。かつては前立腺癌は発見時にはすでにStage C,Dの症例が大半を占めるといわれてきた。しかし現在ではStage C,Dの症例の割合は激減しており,またStage A2(T1b)も減っている。代わりにStage B(T2)や触診上正常なT1cの症例が増えている。また同じStage Bであってもかつてのものより早期の症例が増えている。
TRUSの普及により,これを用いた前立腺癌の治療も注目されつつある。クライオサージェリー3)と密封小線源によるブラキテラピー4)がそれである。クライオサージェリーもブラキテラピーも以前に行われた経緯のある治療法であるが,TRUSとの併用で近年再注目されているのが特徴である。
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