増刊号特集 前立腺疾患'96
トピックス
米国における前立腺超音波検査の意義と前立腺癌に対するクライオサージェリー
篠原 克人
1
Katsuto Shinohara
1
1カリフォルニア大学サンフランシスコ校泌尿器科
キーワード:
前立腺癌
,
超音波検査
,
クライオサージェリー
Keyword:
前立腺癌
,
超音波検査
,
クライオサージェリー
pp.265-268
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901783
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前立腺癌は米国では肺癌に次いで男性における癌死の原因の第2位にランクされている。1995年には40,400人が前立腺癌で死亡すると推定されており,国民の間で最も関心の高い疾患の一つである。近年前立腺癌がことさら注目されている理由には,PSAの普及と経直腸超音波(以下TRUS)ガイド下の前立腺生検手技の確立により,発見される症例が増大していることも挙げられる。TRUSの導入により前立腺生検が安全に,より正確に行われるようになり,またPSAの普及により,より多くの患者が生検されるようになった。これにより早期の癌の発見が増え,診断時の前立腺癌の病期の配分は大きく変わってきた。かつては前立腺癌は発見時にはすでにstage C,Dの症例が大半を占めるといわれてきた1)。しかし現在ではstage C,Dの症例の割合は激減しており,またstage A2(T1b)も減っている。かわりにstage B(T2)や触診上正常なT1cの症例が増えている。また同じStage Bであってもかつてのものより早期の症例が増えている2)。
さて,前立腺癌に対する国民の関心が高いことに比例して,米国でのTRUSの普及はめざましいものがある。わずか10年前にはTRUSを行っていた施設は米国内に10ほどしかなかったものが,現在ではほとんどの泌尿器科医の間に普及しているといっても過言ではない。
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