増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
A.尿路内視鏡手術
1.経尿道的尿路内視鏡手術
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
三品 睦輝
1
,
羽渕 友則
1
Mutsuki Mishina
1
1秋田大学医学部泌尿器科
pp.48-52
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903183
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1 はじめに
TUR-Btの合併症としては,穿孔,出血が重要である。腹腔内への穿孔では腹膜炎を起こす可能性があり,後腹膜腔への穿孔は発見が遅れるとTUR反応を起こし低血圧,徐脈,ショックとなる1)。またTUR-Pと異なり,TUR-Btでの穿孔は腫瘍の尿路外への播種の危険性があり2,3),極力避けなければならない。TUR-Btにおける出血で輸血が必要になることは稀であるが,出血による視野不良は腫瘍の正確な切除の妨げとなり穿孔の原因となる。
TUR-Btは腫瘍の完全切除と的確な病理診断のための組織採取という2つの目的がある。表在性膀胱癌に対しては双方の目的を遂行すべきである。しかし,再発を繰り返す高分化型の表在性乳頭状腫瘍であれば,いたずらに広範かっ深い切除を行う必要はなく,頻回の切除による萎縮膀胱を予防するために必要最小限の切除にとどめたほうがよい4,5)。一方,浸潤性膀胱癌が強く疑われる場合は,なるべく少ない切片で膀胱全摘除術の適応判断ができる組織採取を目指すのが妥当である。
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