特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■特異性感染症
【尿路性器結核】
22.無菌性膿尿の患者です。尿培養で結核菌が検出されました。対処と処方について教えて下さい。
沼田 功
1
1古川市立病院泌尿器科
pp.78-81
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100230
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概要
結核は,悪性腫瘍患者,高齢者,薬物治療で免疫不全のある患者やエイズ患者にかかりやすく,日本での発生数は50歳代以下では減少傾向にあるが,80歳以上では増加傾向にあり,60歳以上が新登録患者の約60%を占める。2001年の新登録者数は35,489人で,尿路性器結核は242人(0.7%)である1)。
尿路性器結核は肺内の初期感染部位より血行性に腎内の糸球体近くに付着して乾酪肉芽を形成し,周囲を破壊して腎結核となる。腎内の結核菌が尿路性に播種して尿管,膀胱結核となり,乾酪肉芽,潰瘍,線維化により腎の破壊,空洞形成,腎盂腎杯の拡張,水腎症,乾酪漆喰腎,尿管狭窄,膀胱尿管逆流症,萎縮膀胱を生じる。尿路の閉塞で膿瘍形成や尿路敗血症に進展することもある。両側の腎障害で腎不全になり,片側でも腎血流の減少で高血圧の原因にもなる。精巣上体結核は血行性に精巣上体尾部より広がり,精巣に進展することもある。若い性活動の高い男性で,有痛性腫脹,炎症を伴う陰囊症で結核の既往があることが多い。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.