特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【膀胱炎】
3.排尿痛,頻尿を訴えている間質性膀胱炎が疑われる女性患者です。消炎鎮痛薬では除痛効果が十分ではありません。対処と処方について教えて下さい。
山口 聡
1
1旭川医科大学医学部泌尿器科
pp.20-23
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100211
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1 診療の概要
まず,間質性膀胱炎を正しく理解,診断したうえで,適切な対応を模索することが必要と思われる。消炎鎮痛薬の使用は治療の選択肢の1つとなりうるが,あくまでも対症療法にすぎない。
間質性膀胱炎は,頑固な頻尿,尿意切迫感や膀胱部痛を主症状とする慢性難治性疾患である。本疾患は特異的な感染や病理所見を伴わず,米国の疫学調査では100万人以上の罹患患者数が推定されている。National Institute of Arthritis, Diabetes and Digestive and Kidney Diseasesによる研究診断基準(1988年)では,(1)膀胱鏡でのハンナー潰瘍または点状出血,(2)膀胱痛または尿意切迫感,の両者を有するものが間質性膀胱炎であると定義されているが,実に18項目もの除外規定があり1),多くの患者がこの基準に適合しないとの指摘がある。一方,最近ではその類縁症状群として,過活動膀胱,膀胱痛症候群,慢性骨盤痛症候群や頻尿・尿意切迫症候群などがあり2),間質性膀胱炎との鑑別に苦慮することが少なくない。
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