特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【精囊炎】
12.血精液を呈する患者です。対処と処方について教えて下さい。
中島 耕一
1
1東邦大学医学部泌尿器科
pp.49-51
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100220
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1 診療の概要
臨床医にとって体液に血液が混じるという現象を観察することは,診療上の何らかの重大な警告と考える。精液に血液が混入するいわゆる血精液症は,果たして重篤な疾患のサインなのであろうか。1894年に発表されたGaz1)のreviewにおいては,Hippocratesによる血精液症の記載を認めると記されており,古くから精液に血液が混入する現象は観察されていた。また,この現象に対する疫学,病態生理学に基づく発症機序の検討もなされてきているが,1910年代から1970年代前半までは,そのほとんどが医原性と考えられてきた。
しかしその後,経直腸超音波診断装置やMRI(magnetic resonance imaging)などの新規検査装置の開発や,解剖学,生理学における新たな知見の蓄積に伴って,表1のように多岐にわたる原因の可能性が報告されている。大別すると,(1)炎症と感染,(2)精路の閉塞や囊胞,(3)腫瘍,(4)血管および凝固系の異常,(5)全身疾患,そして(6)医原性に分けられる。
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