今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
II. 内分泌
[更年期障害(ホルモン補充療法)]
44.排尿障害,特に尿失禁の対処と処方について教えて下さい.
山内 和幸
1
,
野崎 雅裕
2
1県立宮崎病院産婦人科
2九州大学大学院医学研究院 生殖病態生理学
pp.479-481
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100985
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1 診療の概説
排泄は,羞恥心にかかわる問題であり受診しにくいこと,尿失禁が産婦人科と泌尿器科との境界領域の疾患で専門医が多くないことなどの理由で,尿失禁に対して十分な対処がなされていない場合が多いと予想される.大学附属病院産婦人科を受診した19,239名の調査では,26.8%に何らかの尿失禁症状がみられており,40歳を境にその頻度が増加している(図1)1).更年期のエストロゲン失調と尿失禁との関係が示唆される.
尿失禁はその原因により,腹圧性尿失禁,切迫性尿失禁,溢流性尿失禁などに分類される.尿失禁の大半は腹圧性尿失禁で,腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型もある.溢流性尿失禁は下部尿路の閉塞が原因であり,女性では少ない.それらの病態について図22)に示す.
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