連載
海外生活16年—出会った人・学んだこと・15
神保 孝一
1
1札幌医科大学皮膚科
pp.280
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903886
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ハーバード大学医学部皮膚科学講座におけるレジデントの研修(その7)
レーザー治療とRox Anderson助教授
PUVA療法のパニックが終わりに近づくにつれ,J Parrishは2つの研究に取り組み始めていた.その1つは光免疫学の研究である.これは彼自身の基礎研究活動の主要テーマでもあった.しかし,この研究活動を始めたのはレジデント終了間近であったが,基礎研究の修錬を積んでいない者が研究を始める時期としては少し遅く,彼自身が最先端の研究レベルまで達することは困難であったと思われる.しかし,ハーバード大学皮膚科学講座のFitzpatrick教授の後任として選出された直後に,米国研究皮膚科学会でのモンタニア記念講演の演者として選ばれたときには光免疫学の講演を行った.
もう1つの研究は,レーザー治療法の開発であった.レーザーそのものに対する興味は彼がレジデントになった当初から持っていた.MGHに付属している古い研究棟の小さな研究室で研究活動が始められた.当時は現在のような立派なレーザーの機械がなく,レーザー光が剥き出しの機械から放出され,ミラーにぶつかり,そのミラーの反射を回転プリズムの原理を応用して,断続的にパルスを起こさせ,パルス照射療法を行うといったものであった.しかし,この研究はその後ベトナム戦争終了後,多くの研究費の援助がこのようなレーザーに関連した仕事に向けられたため,多額の研究費が与えられるということとなり,飛躍的に伸びていった.
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