Japanese
English
今月の症例
スポロトリコーシスに対するイトラコナゾールによる治療にH2ブロッカー併用が影響した1例
A case of sporotrichosis:Deteriorated therapeutic effectiveness of itraconazole in conjunction with administration of histamin2 antagonist
大場 操
1
,
櫻井 みち代
1
,
松本 賢太郎
1
,
伊藤 泰介
2
,
鈴木 陽子
3
Misao OBA
1
,
Michiyo SAKURAI
1
,
Kentaro MATSUMOTO
1
,
Taisuke ITO
2
,
Yoko SUZUKI
3
1静岡県立総合病院皮膚科
2浜松医科大学皮膚科学教室
3静岡厚生病院皮膚科
1Division of Dermatology, Shizuoka General Hospital
2Department of Dermatology, Hamamatsu University School of Medicine
3Division of Dermatology, Shizuoka Kosei Hospital
キーワード:
スポ・トリコーシス
,
イトラコナゾール
,
塩酸ラニチジン
Keyword:
スポ・トリコーシス
,
イトラコナゾール
,
塩酸ラニチジン
pp.985-987
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903044
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58歳男性のスポロトリコーシスの症例を報告した.臨床像は右手背にびらんを伴う紅色小結節を呈し,病理組織像は,真皮中層の壊死部位を中心にmixed cell granulomaの像がみられた.分離菌はSporothrix schenckiiと同定された.治療はイトラコナゾール内服1日50mgより開始し,100mgに増量したが,右手背から前腕部にかけて,数個の皮下結節が飛び石状に並んで生じてきたため,懐炉による温熱療法を併用したが,皮疹はさらに右上腕にまで多発した.患者は他院で十二指腸潰瘍と診断されて,塩酸ラニチジンを併用していたことが判明したため,塩酸ラニチジンはそのままにイトラコナゾールを1日150mgに増量したところ,徐々に手背および上肢の皮疹は消失した.初期の治療が無効であった理由としてH2ブロッカーの併用によってイトラコナゾールが抗真菌剤としての治療濃度域に達していなかったと考えられた.
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