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Abstract,新しい保険システム,electronic bookについて
医学雑誌に論文を発表する際に,もちろん皆さんもabstractを初めに書かれると思いますが,最近これに関して大変興味深い記事が出ました.JAMA, March 24/31, 1999, vol. 281,#12, Pitkin et alで,大手6医学誌の中の論文44件のabstractと本文内容の比較をしてみたところ,16〜68%のものが何らかの形で矛盾したり省略されていると報告されています.Abstractの“ab”はラテン語では“away from”とか“out of”という意味ですから,“abstract”が“distract”になってはまずいわけです.ちなみに“dys”または“dis”はラテン語では“abnomal”ですよ.そして,どうか十分に気を付けてabstractを書き上げて,後から編集者から本文との違いについて問い質されることがないようにして下さい.
医学雑誌と言えば,The New England Journal of Medicineで最近,アメリカの保険制度に関する新しいシリーズが掲載されました.これは1月号と2月号にわたっており,近々日本でも保険制度の改正が行われるかもしれないと聞いている私としましては,ぜひとも皆さんにこれを読んで頂いて,私たちと同じ過ちを犯さないで頂きたいと思います.その記事の中で,Thomas Bodenheimer, MDによりますと,1996年度全米には73万8千人の医師がおり,その内60万人が実際に患者を診ております.そしてその内の70%が専門医と報告されています.また,医者と患者数の比率を見てみますと,1970年には患者10万人に対し医師115人であったのに対して,西暦2000年(来年ですよ!)には患者10万人に対して医師203人になるという報告がなされています.したがって皮膚科を含む専門医同士での患者の取り合いとなるわけですから,そうなる前に患者が直接専門医の所へ行けるような体制を整えられるようにされたら良いと思います.
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