Japanese
English
症例報告
左大腿全周に発生した巨大熱傷瘢痕癌の1例
A case of giant squamous cell carcinoma arising from burn scar on the left thigh
近藤 正孝
1
,
臼井 恵太郎
1
,
鈴木 正之
1
,
狩野 俊幸
1
,
出光 俊郎
1
Masataka KONDOH
1
,
Keitaro USUI
1
,
Masayuki SUZUKI
1
,
Toshiyuki KANO
1
,
Toshiro DEMITSU
1
1自治医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Jichi Medical School
キーワード:
熱傷瘢痕癌
,
巨大有棘細胞癌
Keyword:
熱傷瘢痕癌
,
巨大有棘細胞癌
pp.1029-1032
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901706
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49歳,男性.5歳時に下腹部,両大腿部,両膝部に熱傷を負った.47歳時左大腿部後面に生じていた拇指頭大の潰瘍が次第に増大し,約1年半で左大腿全周を占める巨大な潰瘍局面となった.腫瘍は生検組織診断で分化型有棘細胞癌であった.術前検査では遠隔転移は認められなかった.外科的治療として腫瘍切除術と左鼠径リンパ節郭清術を施行した.郭清したリンパ節に組織学的に転移は認められなかった.術後療法としてPM(ペプレオマイシン,マイトマイシン)療法を施行した.SCC関連抗原は切除時,局所再発,化学療法などを反映して変動がみられ腫瘍マーカーとして有効であった.文献的には自験例にみられたほどの巨大な有棘細胞癌で転移巣を見いだせない報告例は現在までになく,自験例はまれな例と考えられた.また組織学的には角化の強いBrodersの分類1度で,腫瘍細胞は表皮方向に乳頭状に角化し,真皮中層までの深さで潰瘍面全体に増殖していた.
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