Japanese
English
症例報告
多彩な病理組織像を呈した熱傷瘢痕癌の1例
A case of burn scar carcinoma with a variety of histological findings
畑 康樹
1
,
秋山 真志
1
,
山田 晴義
1
,
仲 弥
1
,
原田 敬之
2
Yasuki HATA
1
,
Masashi AKIYAMA
1
,
Haruyoshi YAMADA
1
,
Wataru NAKA
1
,
Takashi HARADA
2
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2東京女子医科大学附属第二病院皮膚科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
2Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical College Daini Hospital
キーワード:
熱傷瘢痕癌
,
ビメンチン
Keyword:
熱傷瘢痕癌
,
ビメンチン
pp.1127-1131
発行日 1994年11月1日
Published Date 1994/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901374
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熱傷受傷後37年を経て熱傷瘢痕癌が生じた46歳の女性例を報告した.病理組織学的に比較的高分化な有棘細胞癌の像を呈する部分,著明な血管増生を呈する部分,未分化な紡錘型の腫瘍細胞が膠原線維間に増殖し,紡錘状有棘細胞癌を思わせるところ,さらに細胞間結合が粗になり,あたかも肉腫様の組織像を呈するところなど,様々な像が認められた.腫瘍と表皮との間に連続性が見られたこと,未分化な部分でも一部の腫瘍細胞がケラチン陽性であること,電顕にて未分化な腫瘍細胞にも少量ながらトノフィラメント,デスモゾーム等の形成を認めたことより扁平上皮癌と診断した.また本腫瘍細胞は免疫組織学的に,ケラチンとともにビメンチン陽性を示した.ケラチンとビメンチンの共存については皮膚由来の扁平上皮癌での報告はまだ少ないが,未分化で,3次元的組織構築の失われた癌に多い傾向が認められた.
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