Japanese
English
症例報告
咽頭部の溶連菌感染が発症誘因と考えられた毛孔性紅色粃糠疹の小児例
A Case of Juvenile Pityriasis Rubra Pilaris Possibly Provocated by Streptococcal Infection of the Throat
川本 知江
1
,
吉池 高志
1
,
相川 洋介
1
,
小川 秀興
1
Tomoe KAWAMOTO
1
,
Takashi YOSHIIKE
1
,
Yosuke AIKAWA
1
,
Hideoki OGAWA
1
1順天堂大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Juntendo University School of Medicine
キーワード:
毛孔性紅色粃糠疹
,
溶連菌病巣感染
Keyword:
毛孔性紅色粃糠疹
,
溶連菌病巣感染
pp.779-782
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900979
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11歳,女児.咽頭部溶連菌感染による病巣感染が発症誘因として考えられた毛孔性紅色粃糠疹の1例を報告した.咽頭炎症状発症後,約1週間後に掌蹠,肘頭部,膝蓋部に対称性・境界明瞭な紅斑角化性の局面が急速に発症した.咽頭扁桃部は膿窩を形成し,細菌培養にて溶連菌陽性を示した.病理組織学的には,垂直および水平方向への正角化・不全角化が交互に配列して認められた.以上の臨床像と病理像より,本症を毛孔性紅色粃糠疹と診断した.特記すべき点は,ステロイド・尿素などの外用には全く反応せず,minocyclinを内服させたところ,咽頭炎症状は急速に軽快し,皮疹はそれに合わせるかのように消退したことである.以上,①咽頭炎が発疹の契機となったこと,②皮疹の消長が咽頭炎症状に合致したこと,③抗生物質の投与に対して皮疹も反応したことなどから,自験例においては皮疹の発症に咽頭部の溶連菌感染が誘因として強く考えられた.
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