シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編
Methylation-specific PCR(M-PCR)法
久保田 健夫
1,2
Takeo KUBOTA
1,2
1信州大学医学部衛生学教室
2信州大学医学部遺伝子診療部
キーワード:
DNAメチレーション
,
PCR
,
診断
Keyword:
DNAメチレーション
,
PCR
,
診断
pp.1533-1539
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904261
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はじめに
臨床検査における遺伝子解析の方法として,その簡便性迅速性からPCR法が主流になっている.その際通常のPCR法で検出するものは,塩基置換や欠失などの遺伝子の構造変化である.ここで紹介するMeth-ylation-specific PCR(M-PCR)法は,遺伝子発現に関与するDNA修飾因子の変化を検出する新しいPCR解析法である.
DNAのメチル化は,ヒトを含む高等な脊椎動物にのみ認められるゲノムDNA修飾因子である.この修飾はシトシン(C)-グアニン(G)となっている二塩基配列(CpG)中のシトシンだけに生じ,その結果シトシンはメチル化シトシン(mC)となる.この修飾によりヒトゲノム上のCpGの60~80%がメチル化されている1).高等動物でDNAがメチル化されている理由の1つは,進化の過程で外来から進入した遺伝子を不活化させるためである.実際ヒトゲノム上で多数認められるAlu反復配列などの外来遺伝子配列は高度にメチル化されている2,3).もう1つの理由は遺伝子発現の調節である.
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