原著
Multicentric Extraabdominal Desmoid(Aggressive Fibromatosis)
稲垣 安紀
1
,
浜崎 洋一郎
1
,
幸田 衞
1
,
植木 宏明
1
Yasunori INAGAKI
1
,
Youichirou HAMASAKI
1
,
Mamoru KOHDA
1
,
Hiroaki UEKI
1
1川崎医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kawasaki Medical School
キーワード:
デスモイド
,
線維腫症
,
多中心性
Keyword:
デスモイド
,
線維腫症
,
多中心性
pp.289-293
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900314
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症例:11歳女性.8歳時に左足背の外傷治癒後に皮下小結節が出現し,切除されたが度々再発し増大したため来院.線維腫の診断にて放射線療法を施行し,同部は軽快したが,約2年後,同側下腿の手術瘢痕部に3個の皮下結節が出現し,しだいに拡大した.3年後にはふくらはぎ部にも皮下結節が出現し,1年間で小児手拳大となり,疼痛を伴ってきたため,皮下腫瘤摘除および腫瘍の浸潤した筋群と神経を切除した.組織学的には,腫瘍細胞に異形性はなく,束状に配列した紡錘形の細胞が主体で間質に豊富なコラーゲンがみられた.9年間経過を観察できたが,遠隔転移の所見はなく,multicentric extraabdominal desmoidと診断した.外科的切除を早期に十分に行い,放射線療法は補助的療法として有用と考えた.
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