Japanese
English
今月の症例
クローン病患者に生じた匍匐性紅斑
The Creeping Erythema Appeared on a Patient with Crohn's Disease
阿部 佳容子
1
,
稲垣 安紀
1
,
岡 大介
1
,
幸田 衞
1
,
植木 宏明
1
,
木原 彊
2
Kayoko ABE
1
,
Yasunori INAGAKI
1
,
Daisuke OKA
1
,
Mamoru KOHDA
1
,
Hiroaki UEKI
1
,
Tsuyoshi KIHARA
2
1川崎医科大学皮膚科学教室
2川崎医科大学消化器(Ⅱ)内科学教室
1Department of Dermatology, Kawasaki Medical School
2Division of Gastroenterology, Department of Medicine, Kawasaki Medical School
キーワード:
匍匐性紅斑
,
クローン病
Keyword:
匍匐性紅斑
,
クローン病
pp.965-968
発行日 1990年9月1日
Published Date 1990/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900184
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30歳,男性.クローン病患者に生じた特異な匍匐性紅斑の1例を報告した.昭和53年頃より消化器症状が発現し,クローン病と診断された.臀部に蛇行する線状,一部環状の匍匐性紅斑が認められ,約1ヵ月の経過で消失した.その皮疹は左臀部から右臀部へ遠心性に拡大し,旧皮疹はほとんど変化を残さず消失するため,あたかも匍匐していくかのように見えた.本症例では,同様の皮疹が同一部位にクローン病増悪期に一致して,現在までに3度くり返し生じている.いずれの時期にも皮疹に対する積極的な局所治療が行われていないにもかかわらず,クローン病の軽快に伴い消失した.組織学的には,superficial perivascular dermatitis with interface dermatitisの像のみであった.皮疹の性状より疑われた顎口虫症等の寄生虫疾患を思わせる所見はなく,真菌症,自損症も否定された.以上のことより本皮疹はクローン病に関連したものであると考えた.
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