これすぽんでんす
高橋氏らの論文を読んで
三橋 善比古
1
1弘前大学皮膚科学教室
pp.1306
発行日 1990年12月1日
Published Date 1990/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900252
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本誌44巻10号(949-953頁)に掲載された,高橋・勝海,両氏の原著論文1)を興味深く読ませて頂きました.8歳,女児にみられたhair castsを,走査電顕を使って観察され,内毛根鞘細胞と外毛根鞘細胞を明確に示されたことに敬意を表明いたします.
論文中で著者らは,hair castsは稀なものである,と述べておられますので,このことについて私見を述べさせていただきます.確かに従来の報告をみると,1例あるいは数例についての観察が多く,稀なもののような印象を受けます.われわれは,皮膚科患者173例(Ⅰ群:頭部に,単純性粃糠疹,尋常性乾癬などの病変を持つもの68例,Ⅱ群:湿疹・皮膚炎,蕁麻疹,真菌性疾患などがあるが頭部には病変を持たない者105例)および健康者35例(Ⅲ群)の,計208例について頭髪を調査いたしました2).その結果,Ⅰ群では27.9%に,Ⅱ群では20.0%に,III群でも25.7%にhair castsを見いだし,各群間に有意差は見られませんでした.全例を合わせて男女別に分けると,男は77例中7例(9.1%)に対し,女は131例中42例(32.1%)で,これは有意の差でした.
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