これすぽんでんす
Malignant Trichilemmoma—林氏らの論文を読んで
木村 俊次
1
1慶応大学
pp.96
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202570
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毛包は周知のごとくいくつかのsubunitから成っており,かつ毛周期による変動を示す点で,毛包と関連した腫瘍も複雑多岐にわたっている.毛包腫瘍の記載は1960年以降のものが多くを占め,比較的最近記載された腫瘍も少なくない.したがってそれらの名称も報告者によってばらつきがみられることが多く,初学者にとって毛包腫瘍はとっつきにくい領域の1つとなっているようである.毛包腫瘍についての包括的分類もいくつか1,2)なされているが,まだ試案の段階にあるといえる.
Malignant trichilemmomaもそうした名称のばらつきがみられる毛包腫瘍の1つであり,比較的最近,森岡教授ら3)によって通常のボーエン病から分離されたものである.本腫瘍は林氏らもその論文(本誌,35(11);1049,1981)の中で指摘しているように,follicular Bo—wen's disease, premalignant trichilemmoma. trichilem—mal carcinoma in situなどとも呼ばれている.それぞれの名称はその提唱者自身の考え方に基づくものであり,その是非・長短は簡単には論じられないが,特別な反対知見が提出されない限り原著者の提唱した名称を採用するのが一般的であろう.
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