Japanese
English
症例報告
イヌ咬傷後に生じたMycobacterium chelonae皮膚感染症の1例
A case of cutaneous Mycobacterium chelonae infection following a dog bite
和田 茜
1,2
,
長谷川 道子
1
,
田村 敦志
1
Akane WADA
1,2
,
Michiko HASEGAWA
1
,
Atsushi TAMURA
1
1伊勢崎市民病院皮膚科
2産業医科大学皮膚科学教室
1Division of Dermatology, Isesaki Municipal Hospital, Isesaki, Japan
2Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
キーワード:
非結核性抗酸菌症
,
Mycobacterium chelonae
,
皮膚
,
イヌ咬傷
,
動物咬傷
Keyword:
非結核性抗酸菌症
,
Mycobacterium chelonae
,
皮膚
,
イヌ咬傷
,
動物咬傷
pp.911-916
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207124
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要約 82歳,女性.右第3指基部の背側に23×11 mmの弾性硬の淡紅色結節があり,生検で類上皮細胞肉芽腫を認めた.再生検による抗酸菌培養で迅速発育性抗酸菌を検出し,質量分析の結果,Mycobacterium chelonaeと同定した.詳細な問診により,発症の数週前に同部を飼い犬に噛まれていたことが判明した.クラリスロマイシンを7か月間投与後,縮小した病変を切除し,植皮した.イヌ・ネコ咬傷はパスツレラ症を引き起こすことで知られているが,稀に非結核性抗酸菌症の原因にもなる.医中誌Webで調べえた限り,本邦ではこれまでイヌ咬傷後のM. chelonae皮膚・軟部組織感染症が自験例を含め5例報告されているが,このうち4例では抗菌療法以外に切除などの外科的処置が併用されていた.咬傷部位の治癒が遷延する際には非結核性抗酸菌症も考慮に入れて積極的に抗酸菌培養を含む微生物学的検査を実施することが大切である.
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