Japanese
English
症例報告
症状の遅発遷延がみられたペグフィルグラスチム(ジーラスタ®)によって発症したアナフィラキシーの1例
A case of anaphylaxis to pegfilgrastim(Zylasta®)with delayed and prolonged symptoms
石川 優人
1
,
安島 さやか
1
,
岸本 叡
2
,
橋爪 秀夫
1
Yuto ISHIKAWA
1
,
Sayaka AJIMA
1
,
Ei KISHIMOTO
2
,
Hideo HASHIZUME
1
1磐田市立総合病院皮膚科
2磐田市立総合病院呼吸器内科
1Department of Dermatology, Iwata City Hospital, Iwata, Japan
2Department of Respiratory Medicine, Iwata City Hospital, Iwata, Japan
キーワード:
アナフィラキシー
,
ペグフィルグラスチム
,
ポリエチレングリコール
Keyword:
アナフィラキシー
,
ペグフィルグラスチム
,
ポリエチレングリコール
pp.1049-1052
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206844
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要約 64歳,男性.肝腎骨転移を伴う小細胞肺癌に対して放射線併用化学療法が行われていた.好中球減少症の予防目的にペグフィルグラスチム(ジーラスタ®)が投与された.1時間後から倦怠感と嘔気が出現し,投与6時間後から血圧低下,膨疹,呼吸困難,腹痛が出現し救急搬送された.アドレナリン投与によってショック状態から回復したが,血圧低下と膨疹,消化器症状が完全に消失するまでに5日を要した.PEG4000を含むマクロゴール軟膏のスクラッチテストとペグフィルグラスチムの皮内テストが陽性を示し,同薬剤に含まれるポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)によるアナフィラキシーと診断した.PEGに対する即時型アレルギーはIgG,IgMや補体を介したIgE非依存性反応と,従来のIgE依存性反応が混在するといわれており,自験例の症状の遅発と遷延にはIgE非依存性反応が関与している可能性がある.PEGによるアナフィラキシーは特異な症状経過を取りうるため,特に症状の遅発遷延に注意して診療に当たるべきである.
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