Derm.2022
臨機応変
市山 進
1
1日本医科大学付属病院皮膚科
pp.81
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206655
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以前勤務した病院でご指導下さった皮膚科部長の外来診療の進め方やカルテ記載のスタイルを学び真似しながら日常診療を行ってきた.患者が入ってくる前に診察室内の物品が乱れていないようにする,脱衣の際に誤って別の患者が入ってこないように鍵を閉める,などのきめ細かい指導も受けた.既往歴,アレルギー歴,合併症,家族歴,常用薬などはもちろん,職種,車運転の有無,生活歴も問診して目の前の患者を把握する.平易な言葉でゆっくりと説明するよう努める.可能な限り外用などの処置も行う.時間はかかる.最近,往診型の外勤と都心のビジネス街のクリニックの外勤に行くようになった.前者は施設入所中の超高齢者が対象となることがほとんどで,後者は多忙な働き盛りが多く受診する特徴がある.施設では石鹸洗浄や外用などはスタッフが担ってくれるので,彼らときちんと連携することで治療への応答はむしろよいことも多い.爪や胼胝の切削は積極的に行う.デブリードマンも必要に応じて行うが,頻繁に診察できないことも考慮しなければならない.後者は昼休みや勤務時間中の空き時間を利用して受診する患者も多く,予約時刻を10分過ぎただけで文句を言われることもあるし,次の予定があるからと予約を急遽キャンセルする患者もいる.懇切丁寧な対応よりもスピード重視だ.大学,往診,都心のクリニックそれぞれでやり方を臨機応変に修正する必要性を痛感するとともに,各医療施設での経験が別の施設での診療に役立っていると思えることもある.医学的なことだけでなく,診察・説明の技術にも常に勉強,改善,実行,見直しの繰り返しが必要だと改めて思う.
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