Japanese
English
症例報告
病理組織学的に脂肪滴やTouton型巨細胞を欠いた若年性黄色肉芽腫の1例
A case of juvenile xanthogranuloma which histologically lacked lipid droplets or Touton giant cells
鈴木 千尋
1
,
川島 裕平
1
,
木花 いづみ
1
,
石河 晃
2
,
木花 光
3
,
栗原 佑一
1
Chihiro SUZUKI
1
,
Yuhei KAWASHIMA
1
,
Izumi KONOHANA
1
,
Akira ISHIKOU
2
,
Akira KONOHANA
3
,
Yuichi KURIHARA
1
1平塚市民病院皮膚科
2東邦大学大森病院皮膚科
3かものはし皮膚科
1Division of Dermatology, Hiratsuka City Hospital, Hiratsuka, Japan
2Department of Dermatology, Toho University Oomori Hospital, Tokyo, Japan
3Kamonohashi Dermatology Clinic, Hiratsuka, Japan
キーワード:
若年性黄色肉芽腫
,
脂肪滴
,
Touton型巨細胞
Keyword:
若年性黄色肉芽腫
,
脂肪滴
,
Touton型巨細胞
pp.989-994
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206515
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要約 2歳,女児.右側腹部に自覚症状の乏しい淡紅色の小丘疹が出現し,その後約1か月の経過で20mm以上の腫瘤に増大し,表面より出血や滲出液を認めるようになったため,当科を紹介受診した.診断加療目的に全摘術を施行したところ,真皮内に境界明瞭な紡錘形の腫瘍細胞からなり,リンパ球や好酸球の浸潤を伴った腫瘤形成を認めた.しかし,脂肪滴やTouton型巨細胞は認めなかった.CD68,Factor XIIIaが陽性,S100蛋白,CD1aが陰性であり,巨大黄色肉芽腫と診断した.黄色肉芽腫はnon-X組織球症の中で最も頻度の高い良性の組織球症で,泡沫状の胞体を有する紡錘形の組織球様の腫瘍細胞からなる結節ないし腫瘤である.稀に自験例のような脂肪滴やTouton型巨細胞を欠くnon-lipidized typeの黄色肉芽腫が存在する.これらは細胞異型を伴うLangerhans組織球症との鑑別がしばしば問題となるため,免疫染色および電子顕微鏡所見などで詳細な検討を行い,正確な診断を下す必要がある.
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