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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020
1.最近話題の皮膚疾患
不全型骨髄性プロトポルフィリン症
Incomplete erythropoietic protoporphyria
三澤 恵
1
,
清水 忠道
1
Megumi MIZAWA
1
,
Tadamichi SHIMIZU
1
1富山大学学術研究部医学系皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences, University of Toyama, Toyama, Japan
キーワード:
骨髄性プロトポルフィリン症
,
光線過敏症
,
フェロケラターゼ
,
遺伝子多型
,
蛍光赤血球
Keyword:
骨髄性プロトポルフィリン症
,
光線過敏症
,
フェロケラターゼ
,
遺伝子多型
,
蛍光赤血球
pp.20-24
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206007
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summary
骨髄性プロトポルフィリン症(erythropoietic protoporphyria:EPP)は幼小児期以降に光線過敏で発症する疾患であり,フェロケラターゼ(FECH)をコードするFECH遺伝子が原因遺伝子である.ポルフィリン代謝経路において,FECHの活性が低下することによりプロトポルフィリンⅨが蓄積するために生じる.EPPはFECH遺伝子変異単独では発症せず,遺伝子多型ⅣS3-48T/C(wild typeはⅣS3-48T/T)を同時に持つことで酵素活性が低下しEPPが発症する.しかし,われわれはFECH遺伝子変異がなくとも,遺伝子多型ⅣS3-48C/Cにより軽症のEPP(不全型EPP)を生じることを見出した.不全型EPPでは軽度の光線過敏症状を呈し,少数の蛍光赤血球,血中プロトポルフィリン値の軽度上昇がみられる.さらに,不全型EPP患者の光線過敏症状は年齢とともに改善がみられた.遺伝子多型ⅣS3-48C/Cは日本人では欧米人と比較し約10倍頻度が高い.このため,これまで診断がつかずに見逃されていた幼児,小児における不全型EPP患者が日本人には潜在的に存在している可能性も考えられる.
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