雑誌文献を検索します。書籍を検索する際には「書籍検索」を選択してください。

Rinsho Hifuka Volume 73, Issue 11 （October 2019）

臨床皮膚科 73巻11号（2019年10月発行）

Japanese English

症例報告

Mohs軟膏による出血・滲出液コントロールがQOLを改善した未分化大細胞型リンパ腫の1例 A case of anaplastic large cell lymphoma with hemorrhage and exudate successfully controlled by Mohs' paste to improve QOL 住友理映子 ¹ , 上原慎司 ² , 吉岡啓子 ³ Rieko SUMITOMO ¹ , Shinji UEHARA ² , Keiko YOSHIOKA ³ ¹浅香山病院皮膚科 ²ももだに皮ふ科クリニック ³府中病院皮膚科 ¹Division of Dermatology, Asakayama Hospital, Sakai, Japan ²Momodani Dermatology Clinic, Osaka, Japan ³Division of Dermatology, Fuchu Hospital, Izumi, Japan キーワード： Mohs軟膏 , 造血器腫瘍 , 緩和 , QOL Keyword: Mohs軟膏 , 造血器腫瘍 , 緩和 , QOL pp.887-891

発行日 2019年10月1日 Published Date 2019/10/1

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205863

PDF(3299KB)

有料閲覧

Abstract 文献概要
1ページ目 Look Inside
参考文献 Reference

要約　42歳，女性．当科受診の5か月前より右側頭部に腫瘤を自覚した．腫瘤は徐々に増大傾向で自壊を伴うようになったため，当科を受診した．右側頭部から右顔面にかけて滲出液・出血・悪臭を伴う潰瘍化した10cm大の隆起性局面と，右胸部に3cm大の可動性不良な皮下腫瘤を数か所認めた．未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)の診断で，当院血液内科による化学療法が開始された．開始後，腫瘍径は縮小傾向であったが，滲出液や悪臭は継続し局所治療に難渋していた．そこでMohs軟膏を併用したところ，局所症状は改善し，患者のquality of life(QOL)を下げることなく化学療法を継続することができた．Mohs軟膏は塩化亜鉛を主成分とする組織固定剤で，皮膚に表在する癌からの出血や滲出液・悪臭をコントロールし，患者のQOLを改善する方法として用いられている．Mohs軟膏は終末期患者のみならず，疾患の特性によっては化学療法中の患者のQOLも改善しうる局所治療の1つと考えられた．