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あとがき
阿部 理一郎
pp.838
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205851
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遠隔診療の検討について聞いたり,討論したりする機会があります.新潟も皮膚科医が不在の地域が少なくなく,そのため近隣の皮膚科の医療施設までの距離があり,定期的な診察が必要な患者さんの対応にとても苦慮することがあります.ですので,遠隔診療について具体的に当事者意識で考えることを避けては通れない印象です.いつも皮膚科における遠隔診療の話をしていると問題になるのが,皮膚科医が診断することについて保険点数がついていないことです.遠隔診療での保険診療において,何をもって点数をつけるかとなると,つまるところ皮膚科医の臨床診断に対するものしかないように思えます.他科のように医療機器を用いた検査などが少ない皮膚科にとって一番の専門性のあるこのことに点数がついていない現実はなかなか厳しいと感じます.ですが,昨今遠隔診療の適用を広げていく風潮からは,これをきっかけに点数化を実現するチャンスかもしれません.もちろん保険医療費圧縮が強く行われている今,項目新設は厳しいのかもしれませんが,中期的な目標として周辺の環境整備などからでも進めていくべき課題と考えます.当面の検討事項として,遠隔診療の技術的運営的問題,例えば,しっかりとした皮膚科医が診断する(している)ことをいかに担保するか,など慎重に丁寧に議論を重ねる必要を実感します.
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