Japanese
English
症例報告
尋常性天疱瘡様症状を呈した潜在性亜鉛欠乏を伴う栄養障害による粘膜皮膚障害の1例
A case of mucosal skin disorders due to nutritional disturbance according potential zinc deficiency mimicking pemphigus vulgaris
石川 真衣
1
,
石渕 裕久
1
,
関口 明子
1
,
岸 史子
1
,
安田 正人
1
,
石川 治
1
Mai ISHIKAWA
1
,
Hirohisa ISHIBUCHI
1
,
Akiko SEKIGUCHI
1
,
Chikako KISHI
1
,
Masahito YASUDA
1
,
Osamu ISHIKAWA
1
1群馬大学医学部附属病院皮膚科
1Department of Dermatology, Gunma University Hospital, Maebashi, Japan
キーワード:
潜在性亜鉛欠乏
,
栄養障害
,
尋常性天疱瘡
Keyword:
潜在性亜鉛欠乏
,
栄養障害
,
尋常性天疱瘡
pp.700-704
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205820
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要約 62歳,男性.口腔内に水疱を生じ,数日で口唇や口腔内にびらんが急速に増大,左前胸部にも紅斑,水疱が出現した.臨床所見から尋常性天疱瘡を疑ったが,生検病理所見では表皮細胞の壊死を主体とする表皮下水疱であり,抗デスモグレイン1,3抗体はいずれも陰性であった.生活歴を詳細に聴取したところ,20年間食事は1日1食のみで,初診の3か月ほど前から自己判断でほぼ栄養補助食品のみを摂取する極端な食事制限を行っていたことが判明した.病院食を3食規則正しく摂取するのみで症状は改善した.入院時の血清亜鉛値は80μg/dlと比較的低値であり,潜在性亜鉛欠乏を伴う栄養障害による粘膜皮膚障害と診断した.亜鉛は必須微量元素の1つであり,欠乏により多彩な粘膜皮膚症状を生じる.自験例では生活歴聴取が診断に重要であった.口腔内に病変を生じた患者では亜鉛などの栄養障害による粘膜皮膚障害も念頭に診察することが必要である.
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