Derm.2019
残りやすいこと,残りにくいこと
波部 幸司
1
1三重大学大学院医学系研究科皮膚科学
pp.73
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205708
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昔のことですが,自分より年長の先生が執刀する手術を積極的に見学した時期がありました.その手術を自分がメインで行うと仮定し,手術の進め方等あらかじめ自分なりに考えシュミレーションしておき(例えば,どこからメスを入れるか,どこから剝離するか,どこで体位変換するか等),手術見学しながら自分がシュミレーションしていた内容との違いを自分で確認しました.見学している手術のやり方が自分の考えと違っていた場合でも,その場ですぐに執刀医に質問はせず,自分が考えたのとは異なる,そのやり方のメリット・デメリットをまず自分なりに考え調べました.このような学び方は時間など余分にコスト?がかかるようにも思えますが,「こう切って,こう剝離して」と初めから手取足取り?教えてもらう場合よりも,色々な応用力を含めかえってよく身についたと自分で勝手ながら思っています.皮膚科内の大きな手術を自分がメインで行う機会はめっきり減りましたが,Paget病,悪性黒色腫,広範囲熱傷,膿皮症,腋臭症などの手術を,ブランクがあっても今でも問題なくできると思っています.人から簡単に教えてもらったことは案外忘れやすいですが,上記のようにして得た経験,知識はよく身につき,貴重だったと感じています.あと,最高責任者として診療,手術(たとえば一人医長での赴任)する経験もやはり貴重だったと思っています.若い先生方の何かの参考になったら幸いです.
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