特集 分娩時の異常をさぐる
心に残った助産例
藤重 澄子
1
1松本第一助産院
pp.38-39
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204619
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1.臍帯の異常例
23歳の初産婦 分娩予定日3日前に陣痛発来,開口期約13時間で順調。娩出期約1時間半で排臨となったが,50分かかってやっと発露となって児頭娩出,臍帯の巻絡はなく躯幹を娩出したが,同時に何か出てきたので見ると胎盤であった。驚くとともにああよかったと胸をなでおろした。後の出血も少なく2,800gの男子を無事分娩した。臍帯は28cmであった。過去に頸部の臍帯巻絡を解除しようとしたら強く牽引したのでもないのに臍帯が切れてあわてたことや,臍帯が卵膜付着であったため胎盤の剥離徴候があったので,少し牽引すると臍帯の付着部から離脱して臍帯だけが娩出し,用手で胎盤を出したことなど思い出して,異常なく終了したことを神に感謝した。
これと反対に臍帯が100cmもあった例もある。28歳の1回経産婦。前回はお産が軽かったとのことなので用心して早目に分娩室に移したが,子宮口全開大しても児頭下降せず,内診すると前頭位なので横にして経過を見る。やっと前頭位で児頭娩出。頸部に手をやると,臍帯が強く巻絡しているので急ぎコッヘルで止めて切断し,臍帯を解除したが,5回も巻絡があった。新生児は第1度の仮死であったが,まもなく蘇生し,無事に終了した。
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