Japanese
English
症例報告
良性対称性脂肪腫症の1例
A case of benign symmetrical lipomatosis
八谷 美穂
1
,
小松 広彦
1
,
元吉 誠
2
,
布袋 祐子
1
Miho HACHIYA
1
,
Hirohiko KOMATSU
1
,
Makoto MOTOYOSHI
2
,
Yuko FUTEI
1
1荻窪病院皮膚科
2国立病院機構東京病院消化器外科
1Division of Dermatology, Ogikubo Hospital, Tokyo, Japan
2Division of Gastroenterological Surgery, National Hospital Organization Tokyo National Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
良性対称性脂肪腫症
,
multiple symmetrical lipomatosis
,
アルコール
,
褐色脂肪組織
,
ベージュ細胞
Keyword:
良性対称性脂肪腫症
,
multiple symmetrical lipomatosis
,
アルコール
,
褐色脂肪組織
,
ベージュ細胞
pp.85-89
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205624
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要約 77歳,男性.アルコール多飲歴と4年前に頸部,下顎の脂肪腫切除歴があった.1年前に接触性皮膚炎で当科受診時に,両下顎,頸部,両肩から上肢,前胸部を中心とした上半身と鼠径部に,弾性軟の皮下腫瘤を左右対称性に認めた.病理組織像で,被膜を有さない成熟脂肪細胞が増生し,特徴的な臨床像とあわせて,良性対称性脂肪腫症と診断した.本疾患の機序はいまだ明確ではないが,自験例のようにアルコール多飲に伴う報告例が多い.また,頸部,体幹,四肢近位に好発し,これが褐色脂肪組織との分布に一致することから,褐色脂肪細胞由来とする説が根強い.一方で,病理組織像では形態学的に白色脂肪細胞の増殖がみられ,いわゆる古典的褐色脂肪細胞とは必ずしも合致しないため異なる機序が示唆される.最近,褐色脂肪様細胞のベージュ細胞の存在が判明しており,本症との関連が注目される.
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