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古くから漫画やアニメ,映画には戦闘のためのロボットが描かれてきた.『鉄人28号』,『ガンダム』などが昔の有名どころであるが,これらはいずれも人間が操縦し,ロボット同士が戦うストーリーであった.しかし,もう少し時代を経て,『ロボコップ』,『ターミネーター』,『マトリックス』などでは,人工知能(AI)を持った殺人ロボットが世界を蹂躙し,人類存続の危機が描写されるようになった.これもあくまでフィクションであり,最後には人類は生き残るのであるが,これが現実となる日が少しずつ近づいているようである.先日,殺人ロボットに関する国連会議の模様がテレビニュースに放映されていた.人間が制御しなくても標的を選択・破壊できる兵器に世界中の軍や兵器企業が巨額を投じている.そして,自律的に兵器使用を判断するAIが一度開発されてしまえば,今までにない規模の武力紛争を,人知では理解できないほどの速度で,戦えるようになってしまうことが危惧されている.このような殺人ロボットの開発に規制をかけようとする至極当然の動きに対し,アメリカの代表,ロシアの代表は自軍の兵士の命を守ることができると主張し,強い反対意見を述べていた.軍を統括する者にとっては自国兵の命を守り,敵兵を倒すことが至上の命題であろうが,視野が狭い指導者に身の毛がよだった.2045年にはAIは人の手を離れ,自らプログラミングを改良できるようになるともいわれている.この危険性は原爆の比ではない.もっと先々を見極め,大国が率先して規制をしなければ映画のような危機が本当に訪れるかもしれない.
医学にとってAIは利用価値がきわめて高く,危険性は従来のhuman errorによるリスクをはるかに下回るであろう.われわれ医学者はAIをどのようにして人類の役に立てることができるか真剣に考えたいものである.
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