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6月6日〜9日に国立京都国際会館にて第123回日本皮膚科学会総会が開催されました.京都大学椛島教授会頭の下,海外から50名を超える講演者をお招きし,英語のセッションも多数ありました.主なセッションにはWEBの自動翻訳アプリが用意され,各自スマホで日本語訳を聞くあるいは読むことができるようになっていました.また,基礎研究についても多数の講演が用意され,研究皮膚科学会を彷彿とさせる部分もありました.新し試みがふんだんに取り入れられ,また,好天にも恵まれ,非常に多くの現地参加者があり,コロナ禍の終焉を実感する素晴らしい学会でした.
大変賑やかな学会のなか,若手皮膚科医の姿が少ないように感じたのが少し気がかりです.総会は卒後教育に主眼が置かれていますが,実際のところは大学のスタッフや病院の医長などの要職にある先生が講演や座長に呼ばれることが多く,若手医師が病院の留守番役に回ってしまうことが原因として大きいと思われます.学会のために外来を休診にする文化は日本にはまだありません.また,教育講演のWEB視聴ができることで1日でも現地参加しようという意欲が減っていることも一因と思います.たしかにWEB参加は大変便利であり,手っ取り早く知識を取り入れるには合理的なツールです.しかし,質疑応答についてはチャットを介しての質問では一問一答のパターンとなり,議論の応酬をすることは困難です.質問も少なくなりがちですし,核心を突いた質問がきてもその場をかわすだけの回答をするケースが増えたように思います.総会での現地参加は地理的に難しくとも,支部総会や地方会で現地参加し,対面発表での緊張感を経験する機会を増やすべき時期に来ていると思いました.
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