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2014年を迎え読者の皆様方にはそれぞれ新たな気持ちでスタートを切られたことと存じます.時間は一定の速度で過ぎ去る一方ですが,季節は循環していて,カレンダーが新しくなり,1月に戻ることで気分はずいぶんと変わるのは不思議なものです.
私事ですが昨年父が86歳で他界しました.病理医であり,つい数年前まで標本を見ていました.顕微鏡は老眼でもピントがよく合うので頭の老化防止にはうってつけで,あまり病気にもなったことがない,という頭も体も丈夫な男でしたが,75歳時急性胆囊炎で胆囊摘出術中に敗血症性ショックになってから,前立腺癌(ホルモン療法),不安定狭心症(冠動脈バイパス術),腎盂尿管癌(左腎・尿管切除),膀胱癌(膀胱切除・尿管瘻造設),肝細胞癌(肝右葉部分切除)と晩年は癌のデパートのようでした.いつも絶妙のタイミングで発見され,その都度根治切除ができ完全復活しておりました.腹腔臓器が減ってゆき,満身創痍でしたが昨年の春に5つめの癌である肺癌が見つかり(これもなんと原発性),ついに手術適応なしとなりました.悪いところを切り取ることで平均寿命より長生きしたことは間違いありません.癌の遺伝子学的背景が解明されるにつれ,内科的治療で癌を克服できる日が来るのではないかという憶測があるなか,外科的治療は依然として癌治療の根幹をなしていることを再認識しました.早期発見,早期切除に勝る癌の根治療法はありません.総合診療医が日本の専門医制度の一領域となることが決まっていますが,将来,ファーストアクセスを担う科として世の中に浸透してゆくと,皮膚悪性腫瘍の早期病変をかぎ分け専門医へ紹介する力の如何によって皮膚癌患者の予後が左右されることとなります.ある程度のことを総合診療医に要求あるいは期待するようにしなければならない日が来るのでしょうか.オーストラリアで開かれた世界ダーモスコピー会議では多数の地元のホームドクターがダーモスコピーの勉強に集まっていました.悪性黒色腫ががん死亡のトップの国であるにもかかわらず,人員的にも地理的にも皮膚科医へのアクセスが容易ではないためなのでしょう.しかし,日本では将来的にも皮膚科医が担うべき部分であると思いますが,考え方が古いでしょうか.
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