- 有料閲覧
- 文献概要
留学時,臨床のことはすっかり忘れ研究に没頭し,研究の難しさと楽しさを味わった.研究は結果がどんどんでているときは楽しいが,うまくいかないときのほうが多いし苦しい.しかもそれにかけた時間や労力,研究費も結果がでないと報われない.楽しかったり苦しかったり,そんな2年半を過ごし帰国した.帰国後は医局長の任を拝命され人事や雑用中心の1年半であった.臨床は専門外来や外勤中心で,2年半で失われた臨床の勘を徐々に取り戻しながら,いつもみんながハッピーになる方法を模索する毎日であった.そして昨年の7月から帝京皮膚科に移り病棟医長となり,毎日が臨床中心の生活に.病棟患者を診るのは4年ぶりで初めは戦々恐々としていたが入院患者を前にその暇もなく,地域連携が功を奏し入院患者はどんどん増えていく.優秀な病棟チームの先生と一緒にひとりひとりの患者さんをきちんと診断し最善の治療をすることで治っていく過程をみることが,こんなに充実し幸せなものであったのか,忘れていた感覚が戻ってきた.全員ではないが,多く患者さんは治療により喜んでくれる.今後も一人でも多くの患者さんに喜んでもらえるにはどうすればいいか? まずは自分自身が教科書,論文,学会で勉強し,それを患者さんに還元すること.そして,若い先生へ教育し,若い先生がそれを実践してもらうこと.そして学会や講演で多くの先生と教訓となる症例を共有すること.2018年は少しでもそれを実践できるよう努力していきたい.今年で40歳になるが,医者という職業は現役であり続ける限り勉強を続けなければならない,大変ではあるがやりがいのある職業なのだと改めて実感した.大先輩の先生方に少しでも近づけるよう日々努力していきたい.『論語』には四十にして惑わずとあるが,その境地には程遠い….
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.