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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
2.皮膚疾患の病態
皮膚の微細構造“ケルビン14面体モデル”
New insights into the ultrastructure of skin:Kelvin's tetrakaidecahedron model
横内 麻里子
1,2
,
久保 亮治
1
Mariko YOKOUCHI
1,2
,
Akiharu KUBO
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2練馬総合病院皮膚科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, Nerima General Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
タイトジャンクション
,
ケルビン14面体
,
細胞間結合
,
皮膚バリア
Keyword:
タイトジャンクション
,
ケルビン14面体
,
細胞間結合
,
皮膚バリア
pp.38-44
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205376
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summary
表皮細胞は顆粒層で扁平化してから角化する.しかし,表皮細胞の“かたち”とその分化過程における変化については,議論されることはほとんどなかった.教科書の模式図などの断面図は長方形として描かれており,顆粒層は,六角柱の“かたち”をした細胞が積み重なった単純な構造として捉えられてきた.われわれは,表皮タイトジャンクション(tight junction:TJ)の研究を通して,表皮顆粒層のTJを構成する細胞が,扁平ケルビン14面体という特殊な多角形の形状をとることを発見した.これらの細胞は,お互いに隙間なく組み合わさって頑丈で幾何学的に規則正しい構造をなす.さらにこの形をうまく利用して,規則的な順序で細胞が入れ替わることにより,皮膚のバリア構造と機能を保ったまま,バリアを構成する細胞が新陳代謝していくことを可能にしているのである.本稿では,表皮細胞の立体形状を利用した巧妙な皮膚バリアの維持機構,“ケルビン14面体モデル”について解説する.
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