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書評 —著:大原 國章—大原アトラス4 皮膚外科手術アトラス
金子 高英
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1弘前大学医学部皮膚科
pp.1111
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205279
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本年6月に仙台で開催された第113回日本皮膚科学会総会の書籍販売コーナーの一角で,本書を偶然発見したとき,「おお,ついに…」と思わず口走った.16年前,短い期間であったが,著者の技術を少しでも吸収するために門戸をたたき,末席からそのメス捌きを見ていた者として非常に感慨深いことであった.
ご存知,日本における皮膚外科の第一人者である大原國章先生の待望の一冊が刊行された.「大原アトラス」シリーズ4巻目にして,ついに真打登場といったところであろうか.本編を早く見たいところであるが,まず目に留めておきたいのは序文である.皮膚の手術は部位,疾患,年齢などが多様な故に,ガイドライン,マニュアル.そしてアルゴリズムなどはあてにならず,最適な手術を選択するためには,より多くの引き出しを持つことが重要だ,と著者は述べている.治療ガイドラインやらアルゴリズムが次々と発表され,目にすることが日常茶飯事になった昨今からすると,皮膚外科とは何と捉えどころのないファジーな学問なのだと思われる諸先生方がおられるかもしれない.しかし,本文の頁を一枚一枚捲って見ていただきたい.その意味するところが.著者の圧倒的な経験数から導かれるべきして,導かれた真理であることがわかるはずである.そして,それこそが皮膚外科学の醍醐味でもあると感じることができるだろう.
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