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あとがき
戸倉 新樹
pp.86
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204291
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学会での一般演題を聴いていると,しばしば略語を多用する発表に出会う.AD,SCC,BCC,MM,XP,MCTD,LSA(LS),LMDF,DIHS,SJS,AGEP,ALCL,DSAP,CPD,AEGCG,MPNST,DSH,EDS等々である.これらはまだ良いが,erythema elevatum diutinumをEEDと言ったり,erythema dyschromicum perstansをEDPと連呼されると抵抗を覚える.これらの病名は早口でもいいからフルに呼んでほしい.欧米人の発表を聴いていると,長くてもできるだけフルネームで発表する.病名に親しんで覚えるためにいいばかりでなく,耳に心地いい.新人がフルネームを満足に言えない気配を漂わせ,原稿を読みながら略語を発するのは何とも心もとない.フルネームで呼称し,原稿を諳んじての発表は,素晴らしく,また清々しい.
とは言え,AIDS,SARSなど気の利いた略語はそのまま使われる.最近,HTLV-1感染による苔癬型組織反応を呈する疾患群を提唱するために,略語になる名称を考えた.HTLV-1-associated lichenoid dermatitis,これはHALD(ホールド)と略せる.HAM(HTLV-1-associated myelopathy)との呼応も良い.果たしてコンセプトとともに市民権を獲得できるであろうか.
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