- 有料閲覧
- 文献概要
2014年に登場したニボルマブにより,根治切除不能な悪性黒色腫の治療は大きな変革を遂げました.販売開始から1年半が経過し,すでに1,000例以上の症例に投与されています.治験の結果では奏効率は決して高いとは言えませんが,実臨床で使用していて確かに患者さんの生存期間が延長している手応えがあります.一方で,免疫抑制性分子であるPD-1をブロックするニボルマブは,さまざまな自己免疫性の有害事象を引き起こします.そのあと承認されたイピリムマブもCTLA-4の抗体であるため,同様の副作用の原因となります.いかに早く有害事象を見つけ,適切に対処するかが,免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるこれらの薬剤を使いこなすポイントと思います.
さて昨年末にニボルマブの適応が非小細胞肺癌にも拡大しました.今後,腎癌や頭頸部癌など次々に適応拡大が予想されています.第4の癌治療と呼ばれていた免疫療法が,標準治療に加わる時代がすぐそこまで来ています.一方,悪性黒色腫に比べて圧倒的に症例数が多い癌腫に対してニボルマブが使用されていくなかで,悪性黒色腫では発生していない未知の有害事象も次々に報告されていくかもしれません.これからは免疫チェックポイント阻害薬を用いた癌治療を行う各科に加えて,呼吸器内科,消化器内科,内分泌内科など,副作用のマネージメントで協力をお願いする各科とネットワークを組み,情報を共有していくことが重要と思います.皮膚科は複数の免疫チェックポイント阻害薬の使用経験があり,また薬疹のマネージメントのできる科でもあります.皮膚科からも積極的に情報提供を行い,癌免疫療法の急速な発展の波の中で埋没しないようにしなければと思います.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.