Derm.2016
皮膚悪性腫瘍診療で思うこと
緒方 大
1
1埼玉医科大学皮膚科
pp.38
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204730
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「稀少な疾患だからこそ,疾患の特徴を理解している者が診断をつけて治療から経過観察までを行うことに意味がある」この言葉を骨軟部腫瘍科で研修していた折に指導医から聞いた私は,皮膚悪性腫瘍診療にも同じ言葉が当てはまると考え,そこにやりがいを持って今まで日々の診療・研鑽にあたってきた.それから数年が経ち,さまざまな症例を経験して,チーム医療を行う姿勢は身についたものの,今現在でも冒頭の言葉は自分の頭の中に強く刻まれている.
一方で海外の学会や施設見学に行くと欧州でも米国でも,縦割りの分業が当たり前であることを目の当たりにする.皮膚科医は診断をつけるまでが役割で,手技は生検程度.手術は一般外科,形成外科医が受け持ち,薬物治療は腫瘍内科医が受け持つ.当然カンファレンスでディスカッションは行われるが,悪性黒色腫の場合,皮膚科医はstage Ⅰ,Ⅱまでしか診ることはないし,腫瘍内科医は進行したstage Ⅲ,Ⅳを相手にする.といった具合だ.対象とする患者数が違うため診療システムが異なるのは当然だが,日本でもがん診療が細分化されていく流れは徐々に当たり前になってきている.
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