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昨年,一身上の都合により旭川医科大学を退職し,帯広市の皮膚科クリニックに院長として赴任して,かれこれ1年余りとなった.旭川には学生時代を含めて30年余りいたことになり,自分では第二の故郷と思っている.また,在任中は全国各地にお世話になった先生がいらっしゃり,この場をお借りして御礼申し上げます.
旭川医科大学在任中,1年間道北の公立病院に1人固定で勤務していた.旭川医科大学在任中は,小生が不在でも同僚がカバーしてくれるため心置きなく学会,講習会に参加できた.しかし,固定として地方病院に在任していたときは,1人固定のため,医局からの手伝いがないときは学会などには出席できなかった.また,病院内の規定で年2回までしか学会などの出張費が支給されず,専門医取得のための講習会は交通費,宿泊費を含め自腹で参加していた.また,これは旭川医科大学に戻ったときでも同様であった.このような経験は,私だけに限ったことではなく,地方勤務,あるいはご開業なさっている先生方にも当てはまることではないだろうか(もちろん開業医の先生は経費で落とすことは可能であるが).幸いにして,現在勤務しているクリニックは私を含めて3人体制で診療しているため,学会には参加できるが,北海道の一地方都市と遠方のため終日学会場にいることはできない.したがって,途中参加し,中途退席となっている.しかし,学会,研究会は途中参加,退席できても,それが許されない会もある.例えば,専門医,指導医取得,更新のための講習会などが当てはまる.私は,3年前に美容皮膚科指導専門医を取得したが,その取得および更新に当たっては美容皮膚科学会主催の講習会に2回参加することが必須事項となっている.美容皮膚科学会主催の講習会は学会終了後の日曜日,午後3時から午後5時までが通例となっている.東京開催のときには何とか最終便に間に合うことができたが,東京以外での開催のときにはその日に帰ることができず,もう1泊して翌日帰り,午後から勤務に復帰した.現在は,月曜日の診療に穴をあけられないため,是が非でも戻らねばならず,羽田空港から千歳空港まで1時間30分,さらにJRで帯広まで2時間30分の長旅である.自宅の帯広に着くのは午後11時過ぎとなる.これは東京開催のときだけ可能なわけで,西日本地区など東京以外での開催時は講習会の参加は不可能である.したがって,どうしても出席したいときにはこの時期に合わせて夏季休暇をいただくほかない.これは,小生に限ったことではない.旭川から約250km離れた,稚内市に勤務の後輩が専門医講習会に参加した際,帰りの飛行機の関係で10分ほど早めに退席することを会場受付でお願いしたところ,体よく断られ,泣く泣く千歳空港経由,札幌宿泊,翌日に稚内に帰ったという話を本人から聞いたことがあった.幸いにも彼は,晴れて専門医を取得することができたが,地方から学会,研究会に出席することがいかに大変かを物語っていると言える.
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